ヨーロッパ2014調査

01【バルセロナ】直線道路で碁盤目状に区画された新市街地

k-olm_0551
Written by showa_kanri

バルセロナはカタルーニャ自治州の州都で地中海沿岸に位置するスペイン第2の都市です。都市は紀元前6世紀頃に築かれたとされ、ローマの植民地時代を経て地中海貿易の拠点として発展してました。19世紀後半から工業化により経済が発展し、現在ではスペインで一番の商工業地域となっています。同じ19世紀にバルセロナの拡張計画として都市計画家のセルダが発案した都市計画案が実行され、直線道路で碁盤目状に区画された新市街地がつくられました。
調査を行ったのはこの碁盤目状の区画の中にあるオープンスペースです。これらは1986年オリンピックの開催決定を機に始まった旧市街の再整備事業のひとつによる街区の中庭空間です。

2014barcelona

Jardins de Torre de les Aigüesは直訳すれば、「給水塔の庭」という意味になります。その南東側には煉瓦でつくられた六角形のタンクが設置されています。このタンクは地下水を汲み上げる給水塔として使用されていました。20世紀以降は公共の庭園として改修され、タンクの周囲にはスイミングプールがつくられました。木々は等間隔で植えられており、ベンチも配置されています。調査時は学生や社会人が木陰で休む姿や、小学生が校外学習の場として訪れている姿が見られました。

Jardins d’Ermessenda de Carcassonaは文化センターに隣接する中庭空間です。北側には集合住宅があります。住宅とは壁で区切られており、住宅側から中庭空間内に立ち入ることはできません。文化センターには子どものための施設が内包されており、その1階にはベビーカーを置ける場所が設けられていました。中庭空間の遊具が設置された地面は塗装されています。調査時、多くの親子連れで賑わっていました。

About the author

showa_kanri

本サイトに掲載している情報は、調査実施時のものです。現状では異なる場合があります。また当サイトでは現地での対象空間の見学等を保証するものではありません。見学等の場合には、現地での情報に従ってください。

謝辞
本研究はJSPS科研費24500929の助成を受けたものです。

参考
金子友美・芦川 智・菅井さゆり,都市街区における路地空間の利用と空間的効果に関する研究 第1回・第2回ヨーロッパ都市街区内路地空間調査報告,昭和女子大学學苑 885号,2014

金子友美・芦川 智・菅井さゆり・若林晴美,都市街区における路地空間の利用と空間的効果に関する研究(その2) 第3回・第4回ヨーロッパ都市街区内路地空間調査報告,昭和女子大学學苑 897号,2015
 
註釈
1)パリ市公式サイト, http://www.paris.fr/(2014/04/07)
2)パノラマ 近代の見世物のひとつで、遠景や動いている風景を表現する仕組みである。カンバスの両端にシリンダを設け巻き取ることで風景を移動させる仕組みや、円形あるいは多角形の建物の内部壁面を使い、その前に人形などを置いて展観させる仕組みがある。
3)ガッレリア galleria(伊) 屋根のある商店街や歩行者道路。
4)ドゥオーモ duomo(伊) 町の一番重要な教会、通常は司教座教会堂のことである。
5)パッサジオ passaggio(伊) 通路、道
6)ソト・ポルテゴ sotoportego(伊) 建物の下を通り抜ける道
7)ホフ hof(独)複数形はヘーフェ höfe 中庭、裏庭、構内(建物に付属して壁・塀などにかこまれた広場)