バルセロナはカタルーニャ自治州の州都で地中海沿岸に位置するスペイン第2の都市です。都市は紀元前6世紀頃に築かれたとされ、ローマの植民地時代を経て地中海貿易の拠点として発展してました。19世紀後半から工業化により経済が発展し、現在ではスペインで一番の商工業地域となっています。同じ19世紀にバルセロナの拡張計画として都市計画家のセルダが発案した都市計画案が実行され、直線道路で碁盤目状に区画された新市街地がつくられました。
調査を行ったのはこの碁盤目状の区画の中にあるオープンスペースです。これらは1986年オリンピックの開催決定を機に始まった旧市街の再整備事業のひとつによる街区の中庭空間です。
Jardins de Torre de les Aigüesは直訳すれば、「給水塔の庭」という意味になります。その南東側には煉瓦でつくられた六角形のタンクが設置されています。このタンクは地下水を汲み上げる給水塔として使用されていました。20世紀以降は公共の庭園として改修され、タンクの周囲にはスイミングプールがつくられました。木々は等間隔で植えられており、ベンチも配置されています。調査時は学生や社会人が木陰で休む姿や、小学生が校外学習の場として訪れている姿が見られました。
Jardins d’Ermessenda de Carcassonaは文化センターに隣接する中庭空間です。北側には集合住宅があります。住宅とは壁で区切られており、住宅側から中庭空間内に立ち入ることはできません。文化センターには子どものための施設が内包されており、その1階にはベビーカーを置ける場所が設けられていました。中庭空間の遊具が設置された地面は塗装されています。調査時、多くの親子連れで賑わっていました。