はじめに
都市のオープンスペース(後述)には、その都市を代表するような中心的空間と、都市の部分空間を構成するものがあります。
前者はヨーロッパの都市広場に多く見られ、後者の部分空間は主にその空間の周囲に居住する人によって使われる路地空間がその一例です。
私たちは1990年から2005年まで全19回の海外都市広場調査を行い,前者,すなわち都市の中心的機能を担うオープンスペースを研究対象としてきましたが、都市全体のオープンスペースの構成を明らかにするためには、後者のような部分空間にも着目する必要があると考えました。
外周を道路で囲まれた都市の街区内には、通過交通の進入しない歩行者の空間が存在している場合があります。それは、外周道路に面して建築物が建てられていったとき、街区の中央部にできる閑地の利用であったり、あるいは街区をショートカットできる抜け道であったりします...[続きを読む]
本サイトに掲載している情報は、調査実施時のものです。現状では異なる場合があります。また当サイトでは現地での対象空間の見学等を保証するものではありません。見学等の場合には、現地での情報に従ってください。
謝辞
本研究はJSPS科研費24500929の助成を受けたものです。
参考
金子友美・芦川 智・菅井さゆり、都市街区における路地空間の利用と空間的効果に関する研究 第1回・第2回ヨーロッパ都市街区内路地空間調査報告、 昭和女子大学學苑 885号、2014
金子友美・芦川 智・菅井さゆり・若林晴美、都市街区における路地空間の利用と空間的効果に関する研究(その2) 第3回・第4回ヨーロッパ都市街区内路地空間調査報告、昭和女子大学學苑 897号、2015
註釈
1)パリ市公式サイト, http://www.paris.fr/(2014/04/07)
2)パノラマ 近代の見世物のひとつで、遠景や動いている風景を表現する仕組みである。カンバスの両端にシリンダを設け巻き取ることで風景を移動させる仕組みや、円形あるいは多角形の建物の内部壁面を使い、その前に人形などを置いて展観させる仕組みがある。
3)ガッレリア galleria(伊) 屋根のある商店街や歩行者道路。
4)ドゥオーモ duomo(伊) 町の一番重要な教会、通常は司教座教会堂のことである。
5)パッサジオ passaggio(伊) 通路、道
6)ソト・ポルテゴ sotoportego(伊) 建物の下を通り抜ける道
7)ホフ hof(独)複数形はヘーフェ höfe 中庭、裏庭、構内(建物に付属して壁・塀などにかこまれた広場)